ECサイトにオウンドメディアは不要

モノの飽和

今日、日本国内のECサイト出店数は100万店舗を超えるといわれており、 店舗の売り上げを確保するためには、価格以外のバリューを提供することが必要不可欠である。 これに対し、SEO対策やコンテンツの量産などで流入を増やす施策をとる企業が多く、 Webに携わる人間であればコンテンツマーケティングはもはや馴染みの単語になった。 しかし、その量産されたコンテンツは本当にユーザーが求めるコンテンツだろうか。

コトの飽和

先日、暮らしの情報サイトnanapi の更新停止が発表された。 2009年にリリースされ、コンテンツマーケティングブームの火付け役となったサービスだ。 サービス停止の流れはnanapiに限った話ではなく、名の知れたメディアサイトも次々と閉鎖されている。ブームが起きたために、発信するコンテンツに似通ったものが既にインターネット上に存在している、ということが珍しくなくなってきたのだ。では、コンテンツマーケティングが通用しなくなったかというと、私はそうではないと考える。

メディアだけがコンテンツマーケティングの形では無い

コンテンツマーケティングで一番に優先すべき課題は徹底的なセグメンテーションである。 誰のために何を届けたいのかが明確でないメディアではユーザーの心に響くことはないだろう。当然流入を増やすことができれば、これまで来ていなかったユーザーにリーチできる可能性が高まるので、売り上げが上がる可能性がある。 しかし、それが最短ルートだろうか。ユーザーにバリューを提供することが目的であり、流入を増やすことが目的ではないのだ。 コンテンツマーケティングと聞くと条件反射的にオウンドメディアを想起してしまうのはブームの弊害だろう。 コンテンツマーケティングでは、ユーザーの行動変容が大きく4つのプロセスでわけられており、 「認知段階」「調査・理解段階」「比較・選択段階」「リピート・口コミ段階」 と進んでいく。 ブームに乗じてサービスを開始した多くのメディアが影響を及ぼす範囲は認知段階だ。そして、 ユーザーに認知してもらうためには、ユーザーニーズだけでなく、競合・SEOも考慮する必要があるため、最もコストがかかる段階でもある。  

投資をするなら出口に近いところから

オーディオ界隈では「投資をするなら音の出口に近いところから」という定石がある。コンテンツマーケティングにこれを当てはめると、高い運用コストを払い続けながら必死に間口を広げるより、出口に近い部分から作用していくのが売り上げ増加の一番の近道、ということになる。例えば、商品を文字から想像できる範囲には限界がある。動画コンテンツを用いて比較・選択段階のユーザーに商品を購入した疑似体験を提供することで、 文字だけでの説明ページよりもクロージング力を高めるといった施策の方が効果は出やすいだろう。 オウンドメディアの効果が出るまで試行錯誤を続けるよりも、まずはすぐに効果の期待できる部分からコンテンツマーケティングの第一歩を始めるべきではないだろうか。