UXで押さえておきたいポイント

1. スマートフォンファーストの概念

スマートフォンサイトから制作したからといって問題解決はできない

“とにかくスマートフォンサイトを作ってください” “スマホサイトがあれば大丈夫”。 こういった声をよく耳にします。 もちろんスマートフォンサイトに注力を注ぐのは当然ですが、問題はそれをどうやってなし得るかです。これは、ただスマートフォンサイトを作るだけでは解決できません。近年、実際にスマートフォンからのアクセスが激増しているサイトは多いでしょう。 しかし、将来どのようなデバイスが現れるかはわかりません。ただ、今後どのようなデバイスが現れようとも、「ユーザーにとって本当に必要な情報や機能は何なのか?」「それをどのデバイスで利用するのが最適なのか?」と常にユーザー視点で考えながら、Webサイトを構築する「お客さまのニーズへの最適化」ことこそが一番重要だということです。

スマートフォン対応するのではなく、お客様のニーズに最適化すること

スマートフォンは、既にPCに代わるデバイスになりつつあります。だから、スマートフォンファーストはあくまでも「お客様のニーズ最適化が最大の目的」になります。 スマートフォンの利用シーンは、もはやモバイルだけではありません。もしかしたら、近い未来では「PCでも閲覧可能です」と説明しているかもしれません。 スマートフォンの普及でPCサイト中心だった利用形態は劇的に変わったが、ユーザーの多くがスマートフォンの利用に慣れ親しんだことで、それ以外のさまざまなデバイスにおいてもスマートフォンと同様の「使い方」を生み出すことになりました。 つまり、閲覧方法や必要なコンテンツの大部分は、スマートフォンと同様であれば問題がないという状況になりつつあるのです。そこで、あえてここではスマートフォンでのみユーザーニーズの最適化を行い、そのコンテンツや構造を他のデバイスに展開することをスマートフォンファーストと呼んでいます。

どこでも、どんな時でも、誰にでも、簡単に

インターネットが出現してから幾度となくユーザーニーズは変化してきました。その変化は常にユーザーニーズの変化に依存することを肝に銘じてください。 スマートフォンがこれほど普及すると予測できた人は、ほとんどいないはずです。 言い換えると、これから新たなデバイスが登場して普及したとしてもなんら不思議ではないということです。テレビ、ゲーム機、時計が、インターネットとユーザーの新しい接点になるかもしれないということです。 こうした現状を鑑みれば、スマートフォンだけに対応するのではなく、お客さまのニーズに最適化することが、これからのWebサイト構築の肝となるということです。そして、デバイスごとのテンプレートを用意して、一元管理されたコンテンツを配信するというCMS的な概念が、もっとも合理的な対応手法であると理解できるはずです。 モバイルに限らず、お客さまのインターネットでの接点となるデバイスでは、以下の4つのキーワードを実現する必要がある。

  • どこでも
  • どんな時でも
  • 誰にでも
  • 簡単に

これまでは、PCサイトが利用できる限定的な場所だけを想定しておけば十分でした。しかし、これからは電車の中からでも、車内からでも、旅先からでもアクセスが可能になる。つまり、ユーザーのシチュエーションを理解することが必要になるし、そのうえでアクセスしているデバイスに最適化された情報を提供しなければなりません。 その際利用するお客さまのリテラシーやインターネットへの理解には期待してはいけません。インターネットの常識や、知識がなければ利用できないようなサービスは、意味がなくなる。普通の人が普通に利用できる、そんなサービスを提供しなければならないのです。 これまでのインターネットの常識である「ユーザーが探す」という行為でさえ、変えていかなければならない。探してもらうのではなく、こちらが必要なものを選んで提供する。つまり少ないクリックとシンプルな導線による自然な連動が必要不可欠になるのです。

2. 大規模サイトでのユーザー導線設計の手順

大規模なサイト程、はじめから完璧な導線設計をするのは難しい

Webサイトのユーザー導線設計を考える際に、ナビゲーションやサイト全体の導線設計を先にしてしまうことがあると思います。テキストや画像などを仮置きの状態で導線設計をしても、結局は手戻りが増えてしまったりして正しい導線設計ができていなかったりします。特に、大規模サイトになればなるほど、はじめから完璧な導線設計をするのは難しいはずです。しかし、正しい導線設計をすることでユーザーをゴールへ導くことが可能となります。そのためには、ゴールを明確にしWebサイトにとって必要な導線を洗い出す必要があるのです。

入口と出口を定義し、それらを結ぶ導線のパターンを発見すること

導線設計を整理するポイントは、ユーザーの入口と出口を定義し、それらを結ぶ導線のパターンを発見することです。そのニーズに基づいた導線設計は、まず「キーワードの洗い出し」から始めることが重要です。

例えば、ホテルのWebサイトの場合です。 ・駅周辺に泊まりたいけど、ホテルの情報は? ・ホテルのレストランで食事がしたいけど、どんな料理があるの?ランチもやってるのかな? ・結婚式を考えているけど、何人まで?料金は?婚礼サービスとかあるかな? 考えられるであろうシナリオに沿って必要なコンテンツを洗い出し、優先順位を決めます。 Webサイトの成功は、ユーザーが必要としている情報をいかに早く、いかにわかりやすく、いかに快適に提供できるかにかかっています。まずは、お客様の問題をしって、Webサイトで何をやるかを検討することが必要であるといえるでしょう。 所属している会社では、ユーザー体験シナリオにもとづき、ユーザーのニーズ別にシナリオを構造化することで、ユーザーが迷わずに目的の情報へ遷移できるWebサイト構造が実現できています。

シナリオに沿って必要なコンテンツを洗い出し、優先順位を決める

「ただ情報を掲載しておけばよい」という時代ではなく、ユーザーに対して「いかに価値あるサービスを提供できるか」が重要です。 つまり企業Webサイトにとって、ユーザー(=顧客)が抱えている問題を解決して満足させることが目標であり、その満足体験の積み重ねがユーザーの感じる企業価値の向上につながります。 ユーザーが得たい情報を得たい順で目に留まるよう、洗い出したキーワードを入り口として、お客さまに最適なコンテンツや表示する順番を明確にしていく。これで、必要なコンテンツの優先順位も明確になるはずです。

3. 大規模サイトでのUI改善の方法

UIは良質なUXを実現するための重要な要素のひとつにすぎない

UIは、一般的に、わかりやすいレイアウト、読みやすい文章、使いやすいボタン、 ・クリック(タップ)できるのか ・クリック(タップ)したら何が起こるのか ・どこに情報があるのか ・このページはどこにあるのか ・この言葉はどういう意味なのか と言われたりしています。 製品であれば製品そのものや外観など、 ユーザーの視覚に触れる全ての情報が「UI」と呼ばれます。 UXは、「アプリの使用により、これまで時間のかかっていた作業が簡単に終えられた」「Webサイトのおかげで欲しかった情報が手に入った」といった体験はもちろん、 「説明が読みやすいと感じた」「見た目が美しくて気持ちが安らいだ」「動作が遅くイライラした」など、使用によりユーザーに生じた感情もUXの一つと言われています。 ネット上にあるUI・UXを調べてみても文献や考察は人それぞれで、概念のようなものが多いのです。概念や考え方では具体性がなく誰にも分らないモノになってしまいます。この「使いやすさ」を定義するのはかなり難しいものです。また、UIだけが優れていても、それだけで良質なUXを実現することはできません。

例えば、旅行サイトのデザイン性や、操作性が優れていたとしても、そこに載せられているコンテンツの中身が魅力的でなければ、旅行サイトとしてのUXは良質なものとはならないということです。

大きなUI改善は、ユーザーにとって反感や違和感が生じる

デザインの一新はユーザーにとって、慣れるまでに一定の反感や違和感が生じることがあります。

“今のインターネットユーザーは、別段インターネットが好きではない”ということです。今までのユーザーは、インターネット自体が好きで、Webサイトを見たり情報を探すことが楽しかったはずですが、 今では、趣味でネットサーフィンをする人はほとんどいない。 ユーザーが求めているのは、美しいグラフィックやグリグリ動く動画ではなく、ほとんどの場合は、 “欲しい情報を素早く、クリックせずに入手したい。” これがユーザーのニーズであり、Webサイトはそれを解決しなければならない。ユーザーがサイト内でリンクを何回もクリックして情報を探してくれると期待してはいけません。 何が良くて何が悪いかは、ユーザーに使ってもらうまで正解が出せませんし、時代の変化によって新しい端末や操作方法が登場し、その正解さえも変わっていくためです。 一度サイトを公開したら、そこからがスタート。少しずつUIを改善して変化に対応していかなければいけないのです。

大規模サイトこそ、基本のデザイン4原則をしっかりと守る

デザインには基本中の基本となる「4大原則」があります。 Webデザインに限らず、デザインの基本となる法則です。

  • 近接 Proximity
  • 整列 Alignment
  • 強弱 Contrast
  • 反復 Repetition

この4つは「レイアウトのコツ」だけではなく、見た目以外のデザインの役割、「思考・概念を組み立てる」という部分に密接に関係しています。 そして、この基本をルール化した上で、コンポーネントという概念にしっかりと落とし込むことで、どんな大規模サイトでも徹底したルールに基づいたサイト構築が可能となります。 コンポーネントとは 文書構造を定義して、一定のフォーマットでWebサイト全体の見やすさ、文字の読みやすさを担保するものです。 さらに、CMSを利用してコンテンツ単位の管理を行うことで、コンテンツの一元管理、さらには One to Oneによる出し分けも有効に実現することができます。 つまり、コンテンツ有効利用の為の概念なのです。

所属している会社におけるUIは、コンポーネントという、考え方が基本になります。 このコンポーネントという考え方が徹底されているからこそ、サイトの統一やユーザビリティに効果が発揮されます。 このように、文書構造を定義して作成したコンポーネントを積み上げてサイト制作をすることで、 ユーザーにとって、わかりやすいレイアウト、読みやすい文章、使いやすいボタンを与えることができる。ということです。

まとめ

ページ単位でグラフィックに対する要望を細かくする指示することは、時にWebサイトの方向性や、ユーザーにとっての使いやすさ、運用更新性の考慮がなされていないこともあります。 グラフィックデザインが、Webデザインの要素の1つであることは間違いないですが、成果に影響するものではありません。 Webデザインにおいてももっとも重要なのは、「お客様のニーズへの最適化」であることを覚えておいてください。